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ひなたぼっこ10周年記念原稿より

 「それぞれの選択を大切にできる時代へ」          

R.I  

 

 小学6年生になる娘は、ひなたぼっこ代表の西岡さんのことが大好きです。小学1年生の終わり頃、初めてひなたぼっこを訪れた当初から、心から信頼して何でもお話させて頂いています。この「何でも話せる人がいる」という安心感に支えられて過ごせることは本当にありがたいことです。そして、このような支えの中で娘の成長を共に見守って下さるスタッフの方々や、集う場があることが、私達家族にとってこれまでどれだけ大きな支えになってきたことかわかりません。

 ひなたぼっこには、色んな場所で生きづらさを感じた人達がやってきます。生きづらさを感じた場所・理由は人それぞれですが、根本の部分を紐解くと「個人を尊重する」とか「違う選択肢もある」という部分を認めてもらえなかったからという話をよく耳にします。

 ひなたぼっこは、「学校」ではなく「居場所」です。ですから、教育理念や方針など「こうあるべき」というものは存在しません。そして、訪ねてきた人は子どもでも大人でも、どんな状態・考えの人も排除せず、まずはその人の思いを聞きます。そしてその人の気持ちを尊重して周囲が寄り添っているうちに、その人自身が抱え込んでいた不安な気持ちや不平不満などが自然と和らいできて、いつしか本人が自分と向き合い、自分で解決していくケースが多いように思います。しかし、そこに至るまでには何年もかかる場合もしばしばで、そこまでじっくり待てるかどうかは、一家庭だけで支えるには難しい場合も多く、逆に他人だからこそ寄り添いやすいということも沢山あります。そういう部分をスタッフの方々やそこに集う人たちが助け合いながら、それぞれが無理なく関われる範囲で影響しあえる場となっていると思います。このように様々な世代・考えの人が多様に関わる場では、選択肢も自然と増えますし、それぞれが無理なく自分にあった距離感で存在できる環境になります。それが安心出来る「居場所」につながっている部分だと思います。

 また、もう一つひなたぼっこでとても有難いと感じることは、何かうまくいかないことに直面した時どうするかという姿勢を学べることです。このようなことは、机上の学びからはなかなか得難いものですが、周囲の人達が今をどう生きているのかを見聞きし、それに寄り添う人たちの包容力のある関わり方を身近に感じながら日々成長出来ていることは、これからの人生の中できっと大きな支えとなっていくだろうと思います。

 自分に合った学びのカタチは人それぞれで、同じ人でも成長段階によって変化してくる場合もあると思います。その時々の状態にあわせて、ちょうど良い場を選ぶということが気兼ねなくあたりまえに出来て、その選択を周囲もあたたかく見守り、心から応援できる世の中になることを切に願います。

 もちろん、これまでも、これからも、成長の過程で色んな壁にはぶつかるでしょうし、悩みのスパイラルにはまりこむことは沢山あるかと思いますが、どんな状況になっても「大丈夫」という言葉をかけ、寄り添って下さる方々が側にいる安心感に包まれたひなたぼっこ。これからもそんな場を大切に、共に育みあっていきたいと思います。

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